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導入事例

自動車製造の品質保証業務デジタル化事例

業界:
用途:
会社名
トヨタ車体株式会社
設立
1945年8月31日
所在地
〒448-8666 愛知県刈谷市一里山町金山100番地
従業員数
17,712名(2025年3月末現在/連結)
事業内容
自動車および輸送用機器、福祉車両・福祉機器の開発・生産
ホームページ
https://www.toyota-body.co.jp/

品質保証業務で紙帳票を毎月約600枚削減
デジタル化の苦手意識を克服する取り組み事例

会社紹介

トヨタ車体株式会社は、トヨタグループの商用車、ミニバン、SUVの領域で、企画・開発から生産までトータルに手がける完成車両メーカーとして、地球に、人にやさしい製品づくり、働く人にやさしい工場・ラインづくりを追求している。

同社では、2022年にXC-Gate.ENTを導入し、日常点検や品質保証などの様々な記録帳票で利用している。
いなべ工場 車体部 河西様、長谷川様、廣田様、同 工務部 下村様、デジタル変革推進部 梶原様に話を伺った。


※記載している内容は2025年3月取材時のものです。


トヨタ車体株式会社XC-Gate導入事例資料ダウンロード

導入のきっかけ

火災につながる要因をゼロに

いなべ工場の車体部ではプレスおよびボデーフレームの製造を担当しており、元々は紙帳票を使ってオペレーターが紙に手書きするという方法で作業を行っていた。

ボデー課では溶接スパッタの火花が飛んでおり、紙帳票が燃えてしまうという火災リスクのおそれもあった。そのため、まずは現場から紙帳票を無くすために電子化の検討を開始した。

また、紙帳票の内容を元に転記し報告書を作成することの工数ロス、帳票の更新自体に作業の手間を感じており、紙帳票のペーパーレス化を進めることになったという。

数名で始まったプロジェクト

同社では、数年前から社内全体のデジタル化を本格的に進めており、その第一歩として紙帳票の削減に取り組み、DX実現に適したツールの導入を検討しており試験的に利用していた。

いなべ工場の社員によるトライアル利用では、「非常に使いやすい」との評価を得られたことから、全社利用へ展開することになったという。当初はわずかなメンバーで始まった取り組みだったが、現在では他工場など全社的に利用されるまでに拡大している。

XC-Gateを選んだ理由

紙帳票の電子化を進めるうえで、電子データの信頼性と活用のしやすさが一番の課題となっていた。

Excelベースで利用できるXC-Gateには、リーダーによるデータ変更・閲覧制限の機能が備わっており、それらが信頼性向上に繋がると考え、導入を決めたという。

その他、データ化されるため報告書の作成やグラフの生成に応用できるなど、単純なペーパーレス化だけではなく作業全体の効率化が見込める点も評価いただいた。

「報告書の作成やグラフで見える化するなど、作業の効率化が期待できると感じていた。」(河西様)

導入前の課題

今回取材したボデー課では、溶接後の車両の品質保証として「タガネチェック」を行っている。

タガネチェックとは、スポット溶接部の検査としてタガネ(=鋼製の工具)を用いて、溶接部を破壊しその内部の品質を確認する方法だ。溶接部が適切に結合されているか、内部欠陥がないかも含め、溶接強度の評価を行っている。製造工程で発生する可能性のある溶接不良の早期発見の役割も担っている。

毎月約600枚の紙帳票の印刷や差し替えが必要

従来は、ライン業務の中で車両仕様別のチェックシートを元に作業部位を確認して記録する、という流れで作業を行っていた。従来の運用方法では、月度別管理の帳票仕様となっていたため、スタッフにより帳票を印刷し各工程へ配布、その後バインダー内の帳票を差し替えるという作業が毎月発生していた。

月末には約600枚の紙帳票の印刷や差し替え作業が必要で業務負荷が集中していた。さらに、承認作業には月間約30時間かけて作業を行っていた。

 データの信頼性を担保する堅牢なシステム要件が必要

COP監査(※1)への電子化対応に向けて検討を進める中で、最大の課題となっていたのがエビデンスの保全性だった。大量のデータを扱う関係上、記録の信頼性を確保するための仕組みが求められていた。また、システム導入に伴い社内規定の改定も必要となった。

(※1)COP監査
「Conformity of Production(生産適合性)」の略で、量産された車両や部品が、認可を受けた際の性能や品質を維持されていることを確認するための監査システム。「品質管理体制の監査」として、製造プロセスの適切な管理、品質の維持の確認が要求されている。今回の対象工程は「抜き取り検査」での品質確認と、その結果の保管も担当している。記録は長期間にもなるため、過去のデータの適切な管理も必要とされる。

広い工場を歩きながら帳票確認しており、日常的な歩行ロスが発生

承認作業においては、現場に行き帳票を確認しなければチェック済かどうかがわからないため、承認者は広い工場内を歩きながら帳票をチェックしていく必要があり、日常的な歩行ロスが発生していた。

承認までに時間がかかるためフォローが必要な場合に対応遅れが発生する恐れがあった。

導入の効果

記入や捺印作業などの事前準備の手間を削減

タガネチェックに関連する帳票をはじめとして、工程管理のチェックシートや実績表など多数の帳票の電子化を行った。

同社で運用している帳票では、「作業者名」を帳票・点検日ごとに記入する必要があり、「作業者名」を記入するだけでも一苦労であった。それらの業務を削減するために、別帳票で既に登録された「作業者名」を自動表示できるようにすることで、書き換え工数を削減できた。

今までは記入のために必要な帳票を一枚一枚探していたが、車種・行程名・仕様型式などを入力することでそれらに紐づいた帳票番号を表示できるようになった。

権限のあるユーザーのみが登録できるよう制限し信頼性向上を図る

一番の課題であった信頼性向上の取り組みでは、XC-Gateの機能とExcelの関数を組み合わせて帳票を作成することで課題をクリアすることができた。

点検作業可能か、承認可能かなどユーザーごとにシステム上で権限設定ができるため、信頼性向上につながっている。

1時間の移動コストを削減

承認作業では、特定の管理者によってのみ承認できる仕組みを確立した。チェック漏れがある場合は、承認ができないよう設定することでミスの防止に繋がっている。未チェックの項目がある場合はすぐに気付けるようになり、必要があればすぐにフォローアップの対応ができるようになった。

PCがあればその場で作業の進捗を確認できるようになったため、作業後に工程内を歩きながら確認していた業務は1日あたり1時間の移動コスト削減に繋がったほか、紙帳票の保管スペースも不要になった。空いた時間でこれまで以上に工程観察に時間を使うことができるようになり、業務効率化に繋がっている。

「帳票作成においては、管理する人が少しでも楽に承認ができるよう見やすさや操作のしやすさにこだわった。」(廣田様)

 

導入までの取り組み

ボデー課での「デジタル留学生」の取り組み

ボデー課ではデジタル技術に対して苦手意識を持つ方が非常に多く、デジタルの改善活動ができる作業者が数えるほどしかいない状態だった。

デジタルツールを導入していくためには、その苦手意識を克服することが必要不可欠だった。実現するために、ボデー課の20組のチームそれぞれに一人ずつ「先生」を配置し、その「先生」が軸となって、各組にデジタルの教育・浸透をおこなっていく、ということを目指している。

課内でやる気がある人を募集して「デジタル留学生」という形で、社内DXのために学習する機会を作った。「デジタル留学生」として学んだことは所属するグループへ持ち帰り、業務へ還元することを目指している。このサイクルを実施してきてこれまで5期生まで続いており、今までの卒業生は9名という。

「デジタルツールを導入することはハードルが高く、最初の一歩を踏み出すのが非常に大変。

自身の経験からも、気軽に聞ける『先生』のような人がいれば、一気にデジタル化が浸透していくと思う。」(長谷川様)

いなべ工場での社内勉強会の取り組み

デジタル化における課題解決をしていくために、本社部門への働きかけや工場内でのルール作りや人材育成などを目的とした社内勉強会の開催を積極的に行っている。

新しいツールの導入時などに不安を感じるスタッフも多いため、社内教育の企画・運営を行いしっかりと説明をして理解してもらったうえで使ってもらうことを目指している。

今後の展開

いなべ工場での取り組み

現在、いなべ工場 車体部は約1,000種類の帳票電子化が完了している。これは全体の約10分の1程度となるが、約10,000種類すべての帳票を電子化していくことが今後の展望だ。加えて、蓄積されたデータの活用方法についても検討していきたいという。

「蓄積されたデータをどのように活用していくかを今後検討していく必要がある。」(下村様)

会社全体での取り組み

これまでは、「まずやってみよう!」という状態で電子化を進めてきて結果的に社内全体へ利用拡大することができた。さらなる拡大のためには、今一度社内ルールをしっかり決めていく必要があると考えているという。帳票の長期保管やXC-Gateの項目数(タグ)の制限など、運用する中でルール作りを強化し、さらなる利用拡大を目指していく。

河西様、下村様、長谷川様、廣田様、梶原様、ならびに当日取材にご協力いただいた皆様、
ご多忙の中貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

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