不二製油の業績は、
2017年度売上高3076億円、営業利益205億円で、この数年右肩上がりで推移する。
部門別売上げは油脂38％、製パン製菓素材50％、大豆12％を占め、エリア別では国内外で半々程度と好調で、成長に伴い業務量増加は避けられない状態だ。一方、少子高齢化による人材不足で、労働力低下が懸念される。現状維持ではなく「革新的な攻めの仕事をする」ために、ITで課題解決できないかと考えた。

製造工程を見直し、データ取得や日報管理など、これまでのIT未開拓分野にメスを入れた。
2018年7月に人手で対応していた工程の業務改善を実施。内田洋行のパートナー企業テクノツリー社の「XC-Gate.ENT（エクシーゲート エント）」※を導入検証した。3ヵ月で効果測定ができ2018年12月に本格導入に踏み切った。現在同様の悩みを抱える工場や開発部門の課題解決に向け横展開を目指す。
不二製油様コーポレートサイト

※XC-Gate.ENT（エクシーゲート エント）は、Microsoft Excel（マイクロソフト・エクセル）で作成した帳票を、タブレットなどのブラウザ表示用に変換するシステムです。変換後はプルダウンや文字入力・タブレットのカメラを用いた写真撮影など、多彩な機能を付加することができます。
今まで紙に出力して管理していた現場帳票など、作業効率化およびペーパーレス化が期待できます。

XC-Gate 製品紹介：https://product.technotree.com/xc-gate-ent/

対応策

まず、ＩＴ化による効果が出やすいように業務棚卸し後、業務改善し業務改革を行った。その上で現場の稼働状況や歩留まりなど工場の生産情報入力を紙からタブレットに置き換える。これにより、記入漏れゼロを目指す。
書式が共通化されることでExcel書式の微調整やメンテナンスが不要になり運用ルールも統一できる。
紙データをもとに転記する作業もなくなる。
結果、実績がデータとして蓄積されシステム管理ができるので、過去データの検索や分析として活用できる。

作業時間激減

入力方法を変えた結果、月間の作業時間が延べ150時間（246時間→96時間）の大幅削減となる見込みだ。
実働月20日で、1日8時間労働とすると1人分の労働力に換算でき、別の業務に置き換えることができる。

 

リアルタイム可能

稼働状況を紙やデジカメで記録した場合、事務所に戻ってから入力作業が必要になり、異常が発生していた場合、リアルタイムでの情報連携は難しい。

タブレット活用で、その場で迅速に異常を知らせ、必要であれば状況を撮影しデータ送信することが今後は可能となる。

 

見込める効果

先行して導入したモデル工場に続いて他の3工場での横展開はもちろん、
営業や開発でも順次「XC-Gate」の横展開に取り組んでいる。もくろみによると「月3000時間（18人相当）の削減効果が見込める」という。

PC入力不要に

モデル工場の導入で、現場からは「値入力後すぐに、前回値比較や判定ができ、誤記や読み取り誤りが減った」「特定担当者が（属人的に）点検シートからＰＣ入力してきたが、全員がタブレットで入力するのでＰＣ入力業務が不要になった」とのコメントがきている。

入力した数値を即座にしきい値判定！設定はExcelで関数を入れておくだけ！※サンプルイメージです

XC-Gateでためたデータの中から、過去に入力された値を参照！※サンプルイメージです

もちろん良い面だけではない。タブレット運用に対応するためのスタッフ教育や業務整理、運用に沿ったシートの見直しなどの作業は必要だ。しかしそれ以上に導入メリットは多い。

業務の一気通貫

今後は「XC-Gate」とRPAの協業を目指す。データ収集から定型作業まで、一連の作業の自動化を目指し、システムで動く領域を拡大し、業務の一気通貫を目指す。

同事例は不二製油・ITマネジメントパートナーズ　不二製油事業部　第三グループ　玉木隆大氏が、内田洋行食品ＩＴフェアで講演した「ペーパーレス化による生産業務の合理化～エンタープライズモビリティ実践事例～」をまとめたもの。
出典:日本食糧新聞社

セミナー内容については、下記URLよりご確認いただけます。
ペーパーレス化による生産業務の合理化 ～エンタープライズモビリティ実践事例～のレポートはこちらから
※株式会社内田洋行様のHPへ移動します。

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