導入事例
複雑な製造工程をXC-Gateで可視化、月400時間以上の削減とRPA連携で実現したDX事例
- 会社名
- TOYOイノベックス株式会社
- 設立
- 1925年5月16日
- 所在地
- 兵庫県明石市二見町福里523-1
- 従業員数
- 721名
- 事業内容
- プラスチック射出成形機、ダイカストマシン、およびその周辺機器の製造・販売
- ホームページ
- https://www.toyo-invx.com/
会社概要
TOYOイノベックス株式会社は、1925年に創業した日本の精密機械メーカーです。本社は兵庫県明石市にあり、主にプラスチック射出成形機とダイカストマシンを製造・販売し、グローバル市場に展開しています。これらの機械は、自動車部品、家電製品、医療機器、 生活用品など、さまざまな製品づくりに使われています。

同社は2021年に「XC-Gate」を導入し、現在は組立工程における作業指示書や記録書、日報の電子化を実現している。バーコードリーダーによる入力の自動化や基幹システムとの連携にとどまらず、RPAとPythonを活用した高度なデータ加工を行い、リアルタイムで作業状況を把握できる「進捗モニター」を構築するなど、多岐にわたるシステム連携で製造現場のデジタル化を牽引している。今回は、現場主導でデジタル化と業務改善を推進した製造部 生産技術課の國吉氏、三木氏、および製造部 主管技師の清田氏に話を伺った。
※記載している内容は2026年6月取材時のものです。
導入前の課題
同社では、お客様ごとに仕様が異なる大型産業機械を製造しているため、機種ごとに異なる作業指示書や検査項目の管理が必要であった。導入前の組立工程では、月間3,000枚に及ぶ紙の作業指示書を使用しており、印刷や配布準備だけで月100時間もの工数が発生。記録はすべて手書きで行われ、事務所スタッフによる別システムへの転記作業に月27時間、上長の調査・承認作業には月80時間もの負荷がかかっていた。また、作業進捗の確認は担当者が現場を巡回し、一台ずつ目視で行っていたため、月24時間のロスが発生。複雑な特注仕様への対応では、図面からの転記ミスや判定間違いといった人為的ミスの発生も大きな課題であった。さらに、紙のバインダーが現場を「回覧板」のように移動するため、必要な時に所在がわからず探す手間も頻発。これらの膨大なアナログ業務が現場と事務方双方の業務効率を著しく低下させ、迅速な状況把握を困難にさせる要因となっていた。

XC-Gate導入と活用
柔軟なカスタマイズ性と既存資産の継承
2021年の導入後、現場の声をより直接的に反映させるため製造部への運用移管を経て本格稼働に至った。ツール選定において最も重視されたのは、同社特有の複雑な運用フローに柔軟に対応できるカスタマイズ性と、長年使い込まれたExcelフォーマットをそのまま電子化できる点である。現在は主力製品である横型射出成形機の組立工程を中心に、作業指示書や記録書、日報、さらには小口発注や各種申請書に至るまで、多岐にわたる業務がXC-Gate上でデジタル化されている。特に、従来は手書きで対応していた50文字にも及ぶ長いシリアル番号の入力作業にはバーコードリーダーを導入。これにより、入力の手間を劇的に削減するだけでなく、転記ミスそのものを構造的に排除する仕組みを整えた。

外部ツール連携による品質管理体制
同社の活用方法は、XC-Gateを単なる電子帳票としてではなく、RPAやPythonと組み合わせた「データ活用基盤」として運用している点にある。XC-Gate内の処理負荷を最適化するため、RPAを用いて実績データを自動抽出し、外部のPython環境で複雑な計算やデータ加工を実施。その結果を再びXC-Gateにマスタとして取り込むという連携スキームを構築している。また、指示書には設計部門が基幹システムに入力した最新の基準値が自動で反映される。現場ではシステムの自動判定機能と連動させることで、基準値外の入力に対するリアルタイムなアラート表示が可能となり、判定間違いや手戻りのない、極めて精度の高い品質保証体制を実現している。
導入後の効果
圧倒的な工数削減と「班長承認」の自動化
導入による定量的な効果は、製造現場のあり方を根本から変えるほど絶大であった。まず、月間3,000枚に及んでいた紙の印刷・配布準備作業が完全に消失し、これだけで月100時間の工数を削減。年間では約3.6万枚のペーパーレス化を達成した。現場運用においては、XC-Gateの自動判定機能を活用することで、これまで班長が目視で行っていた膨大な確認・押印工程を廃止。これにより、現場側で大きな余力を創出した。加えて、事務所スタッフによる別システムへの転記作業(月27時間)や、進捗確認のための現場巡回(月24時間)も不要となり、トータルで月間400時間を超える業務時間の削減に成功している。物理的なバインダーを探す手間がなくなったことも、現場のストレス軽減に大きく寄与している。

Python分析による「進捗モニター」の構築と連携強化
さらに、蓄積されたデジタルデータの二次利用により、製造工程の可視化に成功。電子化された日報データをPythonで詳細に分析することで、機種や工程ごとの「標準作業時間(Standard Time=ST)」を算出。これを基幹システムの納期データと突合させることで、極めて精度の高い「進捗モニター」を構築した。従来は現場担当者の経験や感覚に頼らざるを得なかった進捗管理が、納期から逆算した目標スケジュールとリアルタイムの実績比較によって明確に数値化されたのである。この可視化により、次工程を担う製造スタッフや最終検査を行う品質保証部門が、最適なタイミングで作業準備に入れるようになった。工場全体のシームレスな連携が実現したことは、数字以上の構造的な改善成果といえる。

今後の展開
今後は、現在主要製品で行っている電子化を、ダイカストマシンや竪型射出成形機など、対象機種の全域へ拡大する予定である。さらに組立工程だけでなく、紙の記録が依然として膨大に残る加工工程への展開も視野に入れている。
運用面では「進捗モニター」のさらなるブラッシュアップを目指す。現在は班長が指示を出しているが、モニターの情報を活用して各作業者が自律的に次工程を判断し動ける現場づくりが理想だ。また、一部の担当者に構築の知見が集中している状態(属人化)の解消も課題であり、社内の推進体制を強化しながら他部署へもこの仕組みを広げていく構想を持つ。現場の声に寄り添いながら進めてきたデジタル化は、今や同社の「なくてはならないインフラ」として定着した。蓄積されたデータを武器に更なる生産性向上を追求する、同社の今後の展開に期待したい。

当日取材にご協力いただいた皆様、ご多忙の中貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

