導入事例
複数工場の作業日報電子化事例
- 会社名
- 株式会社垣内様
- 設立
- 昭和27年9月(1952年)
- 所在地
- 本社事務所:〒783-0049 高知県南国市岡豊町中島391番地8
本社工場:〒783-0049 高知県南国市岡豊町中島373番地1
- 従業員数
- 114名(機械設計技術者、技能士等 87名)
- 事業内容
- 建設工事業
古物商
- ホームページ
- https://kk-kakiuchi.co.jp/
約90名が記録する作業日報を電子化、1日4.5時間の基幹システム入力時間削減
会社紹介
株式会社垣内は、「高知のエジソン」故垣内保夫のDNAを引き継ぎ、産業用機械メーカーとして、設計・開発から製缶・溶接、切削加工、塗装・組立、据付まで一貫した生産を行っている。
大型の建設機械を受託製造しているほか、自社製品として、家畜ふんなどをペレット状に成型する装置「粒造くん」、成型したペレットを冷却する装置「ひえた君」を製造し、全国各地に販売。大型機械の生産を得意とし、様々なアウトソーシングニーズに対応している。
株式会社垣内ホームページはこちらから
同社では大型機械の生産を得意としていることもあり、業務が個々に頼る、いわゆる属人化が発生しており、特定の社員しか作業手順の全体を把握できていない状態となっていた。生産現場に限らず、管理部門を含めて手作業の業務がかなり多く占めており、大きな問題に直面していた。
問題解決のため、デジタル技術を活用することで全体的な業務の見える化・作業の効率化を進めて改善を試み、社内全体で段階を踏みながらデジタル化に対し重点的に取り組んでいる。そのデジタル化のツールの1つとして、電子帳票システムXC-Gate.ENT(エクシーゲート エント)を導入し、現在は合計6工場、約100名が利用するまでに拡大している。
帳票電子化について、代表取締役 社長 垣内 大輔様(左)、製造部 東工場長 濱口 卓也様(右)に話を伺った。
課題
工場や人員、生産量も拡大していく中、XC-Gate導入前は生産現場・管理業務のアナログ作業がかなり残っていた。従業員各々が、最低1枚以上の作業日報(A5サイズ)に当日の作業実績を手書きで記録し、提出していた。管理者は提出された作業日報を見ながら基幹システムにパソコンで入力する必要があり、常に二重の記録を行っていた。
日々80~90枚提出される作業日報を管理者5名が基幹システムへ入力しており、この作業だけで1日のべ4.5時間以上要していた。
また以前は、作業日報を翌日以降に数日分まとめて記録し、後日提出する従業員もいたという。これによって集計が遅れ業務に支障をきたすことがあり、中には、記録することを忘れ、作業日報が提出されないケースも発生していた。
XC-Gateを選択した理由
もともと、XC-Gate.ENTは製造業向け展示会で製品の存在を知り関心を持っていた。偶然同社の取引先が使用していたこともあり、各種情報を仕入れる中で、XC-Gateのユーザーでもあるテクノツリー販売パートナーの高松帝酸株式会社から提案を受け、導入に至った。
XC-Gate導入理由としては、Excelで作成した帳票ひな形をそのまま使用できることが挙げられる。Excelの機能である、条件付き書式も使用することができるため、入力した値に応じて画面が変化する工夫も簡単に設定することができる。
また、XC-GateにはExcelで帳票作成がしやすい「XC-Editor(エクシーエディター)」というアドインツールがあり、比較的容易に電子帳票を作成できることも選んだ理由の1つとなっている。
作成した電子帳票は、管理部門ではパソコン、生産現場ではモバイル端末、というようにいずれの端末からでも入力ができるブラウザベースのシステムであることも高評価につながった。
XC-Gateの用途・活用している機能
現在XC-Gateは約100名で利用しており、製造部のみならず、開発部、品質部でも活用している。用途は主に作業日報や検査記録で、他に品質関係帳票にも使用している。
XC-Gateには同一帳票の複数データを1画面にまとめて表示することができるデータ集計機能が備わっており、この機能を活用しているそうだ。
「日々入力されていくデータ、一定期間のデータをまとめて1画面に集約できるため、重宝しています。」(濱口氏)
導入後の効果
作業日報を電子化したことで、基幹システムへ日報情報を手入力する必要はなくなった。毎日4.5時間かかっていた作業を撤廃でき、紙帳票も1日80枚、年間にすると約20,000枚の紙を削減。
数日分まとめて提出されることもなくなり、今ではタブレットで即日入力・データ送信が当たり前となった。これにより提出漏れをなくし、製造に関する正確な記録を残すことにつながっている。
導入後の苦労した点と解決策
「XC-Gate自体の操作方法や、作成した帳票への入力方法などを、実際に扱う人全員に説明を行うのが大変でした。ですが、デジタルに強い人・弱い人が互いに協力しあうことで、現場に浸透していきました。」と濱口氏は語る。
XC-Gateはこれまで使用していた帳票レイアウトを活用できるが、業務の一部が紙からタブレットに置き換わるという大きな変化が発生した時、ストレスを感じる利用者は少なくない。同社においても、タブレットの扱いに慣れていない従業員が複数いたが、デジタルに強い者、弱い者が自然にタッグを組み、従業員同士で支え合ったことで同社における帳票電子化の普及を円滑に進めることができた。
今後の展開
XC-Gateの導入から約1年が経過し、作業日報や一部の検査記録の電子化・定着は実現できた。一方、まだ電子化ができていない検査記録や設備点検記録、各種紙帳票があるため、今後はそれら紙帳票類を順次XC-Gateで電子化し、運用を目指す。また、帳票への押印が必要となる、いわゆる「ハンコ文化」が根付いているため、XC-Gateの承認ワークフロー機能を活用した電子承認を推進する予定だ。
冒頭にもあるように、デジタル化は企業全体として「段階を踏んで」導入することが大事だと垣内氏は話す。
「XC-Gateだけではなく、社内・社外の交流を促進するコミュニケーションツールの導入や生産工程自動作成システムを導入しています。また、社内で保管場所や基準がバラバラだった手順書、マニュアルを全体的に作り直し、デジタル化した上で社内ポータルサイトからワンクリックで到達できるようにするなど、業務の改善・効率化を進めてきました。」
業務の改善だけでなく、同社の製品に対してIoT関連の機能を付加させたり、3Dを活用したりと、デジタル技術を積極的に取り入れることも視野に入れているそうだ。
さまざまなITツールを駆使してデジタル化を推進する、高知のエジソンのDNAを引き継ぐ同社の新しいことへのチャレンジに今後も期待していきたい。
ご多忙の中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。