導入事例
設備運転記録の見える化とトレーサビリティを実現した事例
- 会社名
- 京セラ株式会社
- 設立
- 1959年4月1日
- 所在地
- 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番
- 従業員数
- 79,185名(持分法適用子会社、持分法適用関連会社は除く)
- 事業内容
- ファインセラミック部品、半導体部品、電子部品、切削工具、太陽電池、宝飾品、セラミック応用品、通信機器、ドキュメント機器などの製造・販売
- ホームページ
- https://www.kyocera.co.jp/
焼成炉の運転記録に対するトレーサビリティを強化
人・設備データをBIツールで可視化し、リアルタイムでの稼働管理を実現
会社紹介
京セラ株式会社は、1959年の創業以来ファインセラミックス部品の製造を基調とし、半導体関連の各種パッケージや光学製品などの多種多様な部品製造から、太陽光発電システム、医療用製品、LED照明、情報通信関連といった様々な事業を展開している。
同社では国内の複数工場における帳票のデータ化を目的としてXC-Gateの活用が進んでおり、今回取材した鹿児島川内工場では2023年3月にXC-Gateを導入した。 セラミック製造では、原料粉末を成型・切削する「成型工程」の次に、1000℃以上の温度でワーク(前工程で成形した、製品のもとになるもの)を焼結して強度を固める「焼成工程」があり、同工場ではこの工程における設備の運転記録表や点検表をXC-Gateで電子化して運用している。
参考:京セラ株式会社 Webサイト『セラミックスの製造工程(多結晶)』
https://www.kyocera.co.jp/prdct/fc/study/process/index.html
今回は鹿児島川内工場 半導体部品セラミック材料事業本部 セラミックパッケージ1事業部 川内第1製造部 焼成課の伊達様、リュウ様に、XC-Gateの利用方法や効果についてお話を伺った。
導入前の課題
XC-Gate導入以前は設備の中に入っているワークの情報を紙帳票で管理しており、作業者が焼成炉のどの場所にワークを入れるかを紙に手書きしたあと、バインダーに綴じて保管していた。医療や車載品などに使われるセラミックス製品の記録保存期間は長く、最長で11年間分にわたる膨大な紙の記録を残しておく必要があった。
設備の稼働データは各設備のレコーダーに残ってはいるものの、入炉時のワーク情報は紙帳票での記録のみとなるため、現場で何か問題が発生した際には一度事務所で膨大な紙の中から紙帳票に書かれた記録をさかのぼって履歴を確認し、その後現場に戻って記録計の情報を確認する作業が発生し、担当者の負担や時間のロスが生じていた。
製品の管理ナンバー、製品名、良品数、不良品数などの情報は生産管理システム上に保存されており、紙の帳票ではそれらの情報を一つずつ手で記入していく必要もあったため、書き写す手間がかかっていたほか、担当者がデータを見誤り、間違った内容を記入するリスクもあった。
導入効果
現在は、焼成炉の中にワークを投入する際の枠組み構成を表示させる用途(入炉マップ)や、設備稼働時の点検記録においてXC-Gateを利用している。
従来課題となっていた履歴確認では、帳票を電子化したことでキーワードから過去の記録をすぐに検索可能となり、もし問題が発生してしまった場合でもすぐに該当する記録を抽出することができるようになった。履歴のトレーサビリティがとれることで、対応にかかる時間の削減につながっているという。
管理ナンバーひとつで製品の管理情報をまとめて呼び出せるように
また同社では、外部データベースの情報をXC-Gate帳票上に表示できる「SQLタグ」というオプション機能を使い、帳票へ製品の管理ナンバーを入力するだけで、生産管理システムから必要な関連情報を全て帳票上へ自動入力できるになった。それにより、これまで生産管理システム上の項目を一つ一つ手書きする際に発生していた手間や確認・記入ミスを削減でき、よりスムーズに作業を進めることができるようになった。
入力データをBIで見える化、タイムリーな焼成炉の稼働状況が把握できるように
帳票へ入力したデータの利活用も進んでいる。XC-Gateで蓄積した帳票データと、別途取得した設備データを焼成データ活用のデータベースに集約し、ウイングアーク1st社のBIツール「MotionBoard」のダッシュボードに稼働データを表示させている。これにより設備が実際に稼働している様子や、設備にどのようなものが入っているのか等、現場からリアルタイムに把握できるようになった。
XC-Gateを選んだ理由
元々扱っていた帳票のベースはExcelのものが多く、XC-GateではExcelのフォーマットをそのまま電子帳票に転用できる点をメリットに感じ、導入・運用に至った。
実際の帳票作成では、画面設計のExcelアドインツール「XC-Editor(エクシーエディター)」上で機能のアイコンが一覧表示されており、作成者にとって易しく分かりやすい印象を受けたという。帳票フォーマットの変更に関しても、現場で使用したあとに改善点が出てきた場合にすばやく変更対応できる点が運用上のメリットとなっている。
今後の展開
「私の部署以外でもExcelでの帳票を多く使用しているので、(XC-Gateを)水平展開できれば、非常に使いやすい、分かりやすく見やすい環境が整えられるのではないかと考えています」(伊達氏)
元々、工場の現場サイドでは業務のシステム化やDXに対して少し抵抗感があったそうだが、XC-Gateの活用が進むことでデータの運用や問題が発生した際の改善に対する意識付けにもつながっているという。現場のさらなるDX拡大に向け、今後は焼成課での成功例を他部署にも展開していくことがカギとなっている。
京セラ株式会社 伊達様、リュウ様、ご多忙の中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。